非破壊検査(Nondestructive Testing: NDT)の歴史は、科学技術の進歩とともに発展して
きました。以下に、その主要な発展段階について説明します。
初期の歴史
古代の視覚検査:
非破壊検査の最も原始的な形態は視覚検査です。目視検査ともいいます。 古代の職人は製品の欠陥を目で見て確認していました。例えば、陶器のひび割れを探すために表面を叩いて音を確認することなどが行われていました。
19世紀
磁気検査の発見:
19世紀に入ると、電磁気学の研究が進展し、磁気を利用した検査技術が注目されるようになりました。磁粉探傷検査の原理がこの時代に基づいています。
20世紀初頭
X線検査の登場:
1895年にヴィルヘルム・レントゲンがX線を発見しました。これにより、物体の内部を透過して画像を得ることが可能になり、医療分野や工業分野での利用が始まりました。第一次世界大戦中には、戦争産業での欠陥検査にX線が利用されました。
20世紀中期
超音波検査の開発:
第二次世界大戦中に、パウル・ランゲヴィンらが超音波を利用して潜水艦を探知する技術を開発しました。この技術が戦後、工業製品の内部検査に応用され、超音波探傷検査(UT)が発展しました。
エディカレント検査の登場:
1950年代には、渦電流(うずでんりゅう)を利用して金属の表面や近くの欠陥を検出する渦電流探傷検査(ET)が開発されました。これは、特に航空宇宙産業で重要な技術となりました。
20世紀後半から21世紀
デジタル技術の導入:
コンピュータ技術の進歩により、非破壊検査のデータ処理や画像解析が高度化しました。X線CTや超音波イメージングなど、より詳細な内部構造の解析が可能になりました。
高度な非破壊評価技術:
現代では、レーザー技術や赤外線サーモグラフィーなど、新しい技術が非破壊検査に導入されています。ドローンを利用する空中超音波法というもあります。また、AI(人工知能)を用いた欠陥検出や解析も進んでいます。
まとめ
非破壊検査は、技術の進歩とともに進化してきました。初期の視覚検査から始まり、X線や
超音波、磁気、渦電流などの技術が加わり、現在ではデジタル技術やAIを利用した高度な解
析が可能となっています。これにより、産業界全体での品質保証や安全性の向上に大きく貢
献しています。
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